2022年に開始された展示即売会『Carat / カラット』ですが、開催当初は『ファンアート』の展示について『可』としておりましたが、回を重ねるごとに「ファンアートを展示するのは危険ではないか?」とのご意見が増えていき、2025年に開催されます『Carat’4』については初の『ファンアート』の展示を『不可』としました。これを踏まえまして、事の経緯や皆さまのご意見を頂戴した結果について下記の通りご報告いたします。又、最初に言及しておきますが、運営サイドとしてはあくまで制作者の方が『ファンアート』として愛情の延長線上にある作品についてはCaratでの展示を許可したいと切に願っております。

ファンアート展示が不可となった経緯
まず『Carat’1 / カラット』の頃から「ファンアートは如何なものか?」と言ったご意見は相当数頂いておりました。当初からこのようなご意見があり、『Carat’2』や『Carat’3』ではそう言ったお声に反して開催されたものです。具体的にご意見については以下のようなものです。
- 無収益だとしても版権元を刺激するのはどうかと思う
- 海賊版プラモデルや違法なガレージキットとどう違うのか?
- ワン〇ェスでも許諾を頂けない著作物の作品を創るのはNGでは?
- ガイドラインが明示されていない著作物は触れないのが吉
- 無版権の作品はあくまで無版権であり容認できない
主に以上のようなご意見がありました。同好の士が集まる『展示会』であって、あくまで個人同士が見せ合う事に重きを置いたイベントであるから『問題ない』と、この後に開催されました『Carat’2』や『Carat’3』でも展示については『可』として扱ってきました。
しかし、Carat’3開催後にいよいよ不味い事態へと発展します。地方の中~大規模なイベントで、海賊版のプラモデルやガレージキットが展示、販売され、それが常態化しているとの一報が入りました。それだけなら「海賊版を禁止すれば良いではないか!」で済む話なのですが、問題は展示や販売をしている方の言い分が「これはファンアートだから問題ない!」との一点張りだったことが問題です。これにより『ファンアート』と『海賊版』の区分けができ辛くなったのです。
念の為に補足をしますが、『展示』をした方の多くが『ファンアート』として購入しており、本人たちにとってはあくまで『ファンアート』と言う区分、認知です。『販売』した人にとっても「仕入れ先がファンアートとして扱っていたから」と言ったものでした。つまり、展示や販売した当人たちに『悪気』があったわけではありませんし、それによって逮捕者が出たとか訴訟問題に発展したとか言う話でもないようです。
著作物については著作権利者からの申告と、刑事罰などを求める訴訟などへの発展がされ辛いと言う背景もあってか、なかなか表面化し辛いという一面もあり、訴訟問題になってからでは遅いという点を念頭に、以下の文についてもご参照ください。
自作ファンアートなら問題ないのか?
さて、ここで問題になってくるのが「自作ファンアートなら問題ないのでは?」と言うこと。あくまでファンが創った二次創作品であるから、コ〇ケなどで頒布されている二次創作物と相違ないのでは?と言ったご意見です。もちろん、こう言ったお声も相当数頂戴しております。
では、『ファンアート』として販売、又は頒布されている『3Dデータ(stl)』を『自分で出力(プリント)した』作品は果たして『ファンアート』でしょうか?それをどう判別するのか?誰が?どう?いつ?判断するのか?などなど、様々な問題に発展します。
実際に海外サイトを覗いてみると「これはファンアートです!」と謳って販売される3Dデータはごまんと出てきます。海外では『ファンアート』に寛容である背景もあります。そして、実際にこれらを「これはファンアートです!」と謳って購入する方が日本には沢山いると言うのも事実ですし、それを展示、二次販売する日本人も相当数いらっしゃり、実際にトラブルになっているのも事実です。
ファンアートに関する実際のお声はどうなのか?
それでは今回行ったアンケートの結果をご覧ください。

およそ70%の方が『全く問題ないと思う』と回答されております。ですが、運営サイドとしては30%もの方が『どちらとも言えない』か『展示するのは問題だと思う』と回答されている事に不安を覚えました。又、実際のご意見については以下をご覧ください。
ファンアート作品の展示は問題ではない
- きちんとファンアートだと明示すれば問題ない
- 著作権利元のガイドラインに則っていれば問題ないのでは
- 単純にNGとなる理由が理解できていません
- 雑誌の読者投稿欄やXでの個人投稿と何が違うのか
- 創作活動においてファンアートは興味を持っていただけるチャンスだ
- caratは出来る限り自由で開放的であって欲しい
- 業界に一石を投じる意味でも、するべきであると思います
- 規制はクリエイターの創作活動を否定する愚行といえます
どちらとも言えない
- なんか言われたらやめるくらいでやっちゃって良いんじゃないかと
- 一度、法律に詳しい人に意見を聞いた方が良いと思う
- これで何かあってCaratが無くなるなんて事に発展したとしたら怖い
- 最終的に判断するのは版元であってこちら側ではない
ファンアート作品の展示は問題がある
- 現状で安全な展示会運営をするなら(ファンアート作品が)無い方が健全だ
- フルスクラッチは実質的にはやっていることは海賊版と同じなので禁止もやむを得ない
- レギュレーションの隙間をつく人がいるので、性悪説で行くしかない
- 非常に単純な理由でArTreeeさんが『リスク』を抱える必要があるのか疑問
- 「見つからなければグレー」は黒です
ファンアート作品に関するご意見を踏まえたQ&A
Q:そもそもCarat(カラット)のフライヤーで掲載しているじゃないか?
A:Carat(カラット)のフライヤーで掲載しているものは全て『版権許諾』を得た『商品』であり、それを個人が購入した『所有物』です。今回のファンアート問題とは別だと考えます。
Q:問題の根底が分かりません。
A:実際には『無版権』のガレージキット、及びプラモデルを『ファンアート』として販売、展示する方が地方で出展され、当人らが「これはファンアートです!」と語った事が根底です。又、これらを管理し、常に注視する運営能力がArTreeeには無いことも問題です。
Q:SNSや掲示板で自慢するのが良くて、なんで展示会はダメ?
A:個人のSNSや掲示板でのやり取りでは『個人が発信』しておりますが、Caratについては『みんなで発信する場所』である為、全く違うと考えています。
Q:コ〇ケの同人誌が良くてCaratでダメな理由は?
A:コ〇ケでもトラブルに発展しています。もちろん訴訟問題にもなっていますし、罰金や刑事罰などの判例もございますので、コ〇ケでもダメなものはダメです。
Q:ガイドラインに則っていれば問題ないのではないか?
A:そうですね。ガイドラインに則っていれば問題ないと思っています。
以上を踏まえた運営サイドのお気持ち表明
Carat発進当時『表現の場を創出する!』と言うワードを出したのを今でも覚えています。その為『ファンアートNG』と言う現状について良くは思っていません。又、上記に掲載した問題があるとは言え、逆に言えばまだ訴訟問題に発展したり、刑事事件になっているわけでもありません。そもそもガレージキットやプラモデルの起源は『創作』する事や『模型(模する)』である事から、これを規制する立場になってしまった事にとても深い憂いを感じております。
私はプラモデルもガレージキットもダイオラマ(ジオラマ)…etcは、制作者(製作者)によって創られた作品の数々を一種の『ART(アート)』だと思い、日々、様々な企画や運営を行っています。この想いはもはや執念とも言えるレベルで毎日を過ごしています。これらの『表現』の為なら戦う覚悟もあります。しかし、それと同時に『表現の場』を守らなくてはならない立場にもいるのです。
2025年2月20日(1時01分)現時点までの経緯の説明とアンケート調査に関するご報告は以上となります。Carat’5ではどのような扱いになるのか、2025年3月9日開催のCarat’4までに答えを出したいと考えておりますので、しばしお時間を頂戴できましたら幸いです。